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『獣の奏者』- 上橋菜穂子

(2010-04-09 05:32:30) 下一个
 
 先日、弟がやってきて、「これ、読む?」と4冊の文庫本を差し出した。
 『獣の奏者』上原菜穂子著(講談社 / 青い鳥文庫)。

「NHKでアニメになってて、その原作。おもしろいよ。小学生向けだけど。」
「へえ、外国の?」
「いや、日本の。他にもいろいろ書いてる。『精霊の守り人』とか。」
「え~!『精霊の守り人』ならアニメを見てた。大好き。その原作者なんだ。じゃあ、これも絶対好きだと思う。読んでみる。」

 おもしろかった。全4巻を5日で読み終えた。
 主人公は母親と二人暮らしの少女・エリン。母は戦いの道具として飼われている「闘蛇」という獣の世話をする獣の医術師であった。しかし、エリンが10歳のときに、母は「闘蛇」を死なせてしまった罪により、捕らえられ死んでしまう。
 母を失い、「闘蛇众」の里を離れたエリンは、蜂飼いのジョウンに助けられ、森や山で暮らしながら生き物の生態に強い興味を抱くようになる。さらにそこで野生の「王獣」に出会ったことによって、エリンは王獣の医術師になることを決意し、王獣保護場の付属学校に入学する。このとき、エリン14歳。
 「闘蛇」が国を守る戦いの道具であるのに対して、「王獣」は神々が王に王権を授ける印として天界から使わしたという聖なる獣。王の聖性の象徴として飼われ育てられる。
 そして、傷ついた幼獣を育てるうちに「王獣」を操る術を身につけてしまったエリンは、王国の命运を決する政治的争いに巻き込まれていく。

 長い物語のどんなところに惹かれるかは、それぞれの読者のそれぞれの嗜好によって違ってくるだろう。物語の主眼は、エリンという少女のまっすぐで飽くなき好奇心や精一杯に生きようとする姿勢なのだろうと思うが、私はそれ以外に、王国の形態の設定が興味深かった。一方に「闘蛇」を抱える国防専門の大公(アルハン)の領地があり、一方で武力を持たぬ聖性によって地を治める真王(ヨジュ)の存在がある。大公(アルハン)の民は血を以って国を守り続けているにもかかわらずその存在を軽んじられていることに不満と憎しみを募らせ、真王(ヨジュ)とその領民は自分たちの平和を守るためにどこかで誰かが血を流しているのだという現実を直視しようとしない。どこかの国と精神構造的に似ているところがあるような…。

 それはさておき、物語のテーマを理解するのに、以下の原作者の言葉が参考になると思うので、紹介しておきます。

 エリンの力で、世界は平和をとりもどしたのです――というような、きれいな解決と結末を期待しておられた方も、おられたかもしれませんね。
 でも、私は、「ひとりの人間の行為によって、世界が平和になる」というようなことがあるとは思えないのです。

 「いまより少しマシな社会の形」――それは、この世に生まれ、死んでいく、すべての人々の気が遠くなるほど地道な試行錯誤の繰り返しの中で、生じては否定され、生じては修正されることでしか、生まれ得ないものだと思っています。

 人の一生は短くて、ひとりの力は小さすぎて、さしたることも為せずに消えていく泡のようなものですが、それでも、いま、わたしたちが暮らしている社会は、そういうちっぽけな人間ひとりひとりが「生き、為した」ことによって生まれてきたものです。

 エリンは、迷い、悩み、考えながら歩いてきた道の上で、多くの他者(獣や人々)と出会い、様々な「音」を奏でてきました。


 小学上級からの本なので、全部の漢字にふりがながふってあるし、難しい言葉が出てくると文章の途中でかっこ内に説明がされています。句読点が多くて文の区切りもわかりやすく、普段あまり本に親しみのないような子でも、とても読みやすくなっています。
 大人も子どもも楽しめる質のよいお薦めの長編ファンタジーです。

追記:
 調べてみると、青い鳥文庫の4冊はジュニア向けの文庫で、もともとは『獣の奏者(1)闘蛇編』『獣の奏者(2)王獣編』という2冊の単行本で刊行されています。大人はこちらの方が読みやすいかもしれません。そして、続編として『獣の奏者(3)探求編』『獣の奏者(4)完結編』も書かれています。青い鳥文庫4巻の最後の舞台から11年後、母となるエリンの物語らしいです。こちらを参考に。


 
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